衛生管理者が不在になってしまった!どうすればいいの?

衛生管理者が不在になってしまった場合の対応方法は?

衛生管理者が誰もいない…不在になったらやるべきことを解説!

従業員が50人以上の事業場は必ず衛生管理者を選任する必要があります。衛生管理者は誰でもなれるわけではなく、国家試験を受験して免許を取得した人です。あなたの会社には衛生管理者の資格を持っている人は何名いますか?資格を持っている人はあまり多くないかもしれません。

そんな衛生管理者が、入院や体調不良などにより休職することや、突然の退職や死亡などで不在になってしまったらどうすればいいでしょうか?今回は衛生管理者が長期間不在になってしまった場合の対応方法について、衛生管理を初めて行う場合でもわかりやすく解説していきます。衛生管理の初心者の方でも理解していただけるように前半は衛生管理者に関する基本事項を説明しています。もし、衛生管理者が不在になってしまった場合の対応を今すぐ知りたい場合には、後半の「衛生管理者が不在になってしまった!さてどうする??」の部分からお読みください。

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この記事でわかること(目次)
  • 衛生管理者が誰もいない…不在になったらやるべきことを解説!
  • 衛生管理者って何をしているの?なぜ必要なの?
  • 衛生管理者が不在になってしまった!さてどうする??
  • まとめ
  • 衛生管理体制の均質化に関する課題はエリクシアで解決!
  • すべて表示 

    衛生管理者って何をしているの?なぜ必要なの?

    衛生管理者は「なぜ必ず選任しなければいけないのか」「具体的にどんな仕事をしているのか衛生管理者は「なぜ必ず選任しなければいけないのか」「具体的にどんな仕事をしているのか」という疑問を持つ方は意外と多いのではないでしょうか。そんな疑問を解決するため、そもそも衛生管理者は何をしているのかなぜ必要なのかについて最初に確認しておきましょう。

    前提として、会社がやるべき労働衛生管理は大きく3つあります。「健康管理」「作業管理」「作業環境管理」の3つです。これら3つの労働衛生管理には専門的な知識を必要とするケースがとても多いです。そのため、専門的な知識を持つ衛生管理者や産業医、産業保健師といった産業保健スタッフの活躍が必要になります。

    この中でも衛生管理者は、事業場の衛生に関わる事項を管理する役割があります。従業員の作業や労働環境などの影響による健康障害を予防するためにとても重要な存在なのです。

    衛生管理者について知っていますか?

    ではここで、突然ですが衛生管理者を選任する上で必要な基礎知識について、どのくらい知っているのかチェックしていきましょう!

    **衛生管理 基礎知識クイズ**

    Q1.「衛生管理者の選任」は従業員が何人以上で必要でしょうか?

    ①従業員10人以上
    ②従業員50人以上
    ③従業員100人以上

    Q2.衛生管理者の選任人数は事業場の従業員数によって違いますが、従業員が100人の事業場では衛生管理者を何人選任すべきでしょうか?

    ①1人
    ②2人
    ③3人

    Q3.衛生管理者は選任すべき事由が発生した日からいつまでに選任すべきでしょうか?

    ①7日以内
    ②14日以内
    ③1カ月以内

    **クイズの解答**

    ここからは、クイズの解答・解説をしていきます。

    Q1の答え従業員50人以上
    労働安全衛生法第12条で、「従業員が50人以上の事業場は衛生管理者の選任が義務」付けられています。

    Q2の答え⇒①1人
    衛生管理者の選任人数は下記の通りです。

    事業場の規模選任人数
    50人~200人1人以上
    201人~500人2人以上
    501人~1,000人3人以上
    1,001人~2000人4人以上
    2,001人~3000人5人以上
    3,001人以上6人以上

    今回の問題は、従業員が100人なので「1人以上」が正解です。ちなみに、もし2人以上の衛生管理者を選任する場合、衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントの資格保有者がいるときは、2人のうち1人はその事業場に専属の者でなくても可です。

    Q3 答え⇒②14日以内
    衛生管理者を選任すべき事由(従業員が50人を超えた、衛生管理者が変更となったなど)が発生してから、14日以内に選任し遅滞なく、「衛生管理者選任報告書」を事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長へ提出することが義務付けられています。

    いかがでしたか?もし、知らなかったことやあいまいに覚えていた部分があったら、ぜひ覚えてください。また全問正解した人も、以下の記事を読んで衛生管理者についての理解をさらに深めましょう。

    第一種or第二種、衛生管理者資格はどっちを取るべき?

    衛生管理者の資格には「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」の2つがあります。「これから衛生管理者の資格を取るのにどちらを取るべきか」という相談は、弊社にもよく寄せられることがあります。どちらを取得するのかは会社の業種によって異なります。

    第一種衛生管理者は、すべての業種の会社で選任ができます。しかし、第二種衛生管理者業種が限られており、有害業務と関連の低い金融・保険・卸売・小売り・情報通信業などの業種の会社のみが選任できます。「第二種を取ったけど、危険業務があるから本当は第一種が必要だった・・・」ということがないように、ご自身の会社の業種では、どちらの資格を取る必要があるのか事前に確認をしておきましょう

    ※衛生管理者の資格についてはこちらの記事でも解説しています。
    衛生管理者資格、どちらを取得するべき?1種と2種の違い

    衛生管理のスペシャリスト!衛生管理者が行う10の業務

    衛生管理者がいったいどんな仕事をするのかご存じですか?衛生管理者が行う10の業務について簡単に確認していきましょう。

    1.健康に異常のある者の発見および処置
    衛生管理者の業務のうち従業員の健康管理はとても重要です。従業員の健康状態を適切に把握するためにも健康診断の計画や従業員への周知受診率向上のための取り組みが必要です。健康診断は計画・実施して終わりではありません。忙しくて健康診断に行きにくい人や健康意識が低い人もいるため、いかに健康診断を受けさせるかということが衛生管理者の腕の見せ所です。健康診断の結果、健康状態に異常がある人に対しては、必要に応じて健康産業保健スタッフと面談を設定する場合もあります。

    2.作業環境の衛生上の調査
    定期の職場巡視を実施
    し、作業場所の照明の明るさや温度・湿度、換気状態が適切か、騒音・振動や業務で取り扱う有害な物質が労働者の健康に悪影響を及ぼしていないかなどを調査します。

    3.作業条件、施設等の衛生上の改善
    職場巡視等を通して、作業内容や作業環境、施設の衛生面などに問題がないかを調査し、改善策を講じます。

    4. 労働衛生保護具、救急用具等の点検および整備
    呼吸用保護具、化学防護手袋、化学防護服、保護メガネなどの労働衛生保護具や救急用具などの点検、整備を行います。

    5. 衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
    衛生教育や健康相談などを企画することで従業員の健康への意識を向上させ、セルフケアを促すためのサポートをします。

    6.労働者の負傷および疾病、それによる死亡、欠勤および移動に関する統計の作成
    業務の中で発生した従業員のケガや病気、それに伴う欠勤や配置転換などの統計を作成します。

    7.その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し必要な措置
    正社員だけでなく、事業場内のパートやアルバイト、派遣社員、出向社員など雇用形態が異なる
    全ての労働者を対象に、就労する場所での衛生管理をします。

    8.衛生日誌の記載等職務上の記録の整備
    病欠者や急病者、事業場内で起きた労災に関する情報、健康診断の実施状況に関する記録を記載します。

     9.職場巡視
    衛生管理者による職場巡視は少なくとも週1回行うように義務付けられています。職場巡視では、事業場内の整備状況や作業内容、作業環境などに関して衛生面・安全面・防災面の問題や危険がないかをチェックしていきます。

    10.衛生委員会への参加
    衛生管理者は衛生委員会の構成メンバーであるため、月一回の衛生委員会に参加します。

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    衛生管理者が不在になってしまった!さてどうする??

    不在になってから放置すると、最悪の場合書類送検される可能性も・・・

    ・衛生管理者が入院や体調を崩し休職
    ・突然退職、または転職してしまった など
    長期間不在となってしまったときはどうすればいいのでしょうか。

    適切な対応をせず放置していた場合、法律で定められている労働衛生管理業務が行われないことで何かトラブルが起きた際には、会社に法的な責任が問われ労働安全衛生法に基づく罰則を受ける可能性があります。過去には、衛生管理者が不在で労基署から再三にわたり是正勧告を受けていたにも関わらず、対応しなかった会社が書類送検になった例もあります。このようなことを防ぐためにも、衛生管理者が不在になってすぐ代わりの衛生管理者を選任することが難しいときは、次に説明する対応を実施することも検討します。

    衛生管理者が不在となったら行うべき2つのこと

    衛生管理者が不在になったら、やるべきことは2つあります。順に解説します。

    ①所轄の都道府県労働局長へ申請をする
    衛生管理者の入院や突然の退職、死亡などにより、次の衛生管理者の選任までに時間がかかる場合は、所轄の都道府県労働局長に申請すると一定期間選任が免除されます。

    【選任が免除となる要件】
    ・次の衛生管理者の選任までに時間を要するやむを得ない状況である。
    免除の期間はおおよそ1年間その間に新しい衛生管理者を選任する。
    代理人を衛生管理の業務に従事させる(※衛生管理者の資格を持っていない人でも可能)

    ②代理人を決める
    下記の条件をもとに代理人を選びましょう。代理人については労働基準監督署への報告義務はありません。

    【代理人になれる人】
    衛生管理者の資格を有する
    ・衛生管理者の資格を有する人がいない場合は、衛生管理者の業務を補佐していた人や衛生委員会のメンバーなど保健衛生の業務に従事している人、または過去に保健衛生の業務に従事していた経験を有する人

    派遣社員は衛生管理者や代理人になれる?

    原則として、衛生管理者はその事業場に専属の者を選任しなければならないとされています。

    しかし自社の従業員に「衛生管理者の資格を持っている人がいない」「代理人になれる人もいない」場合、選任が難しいこともあるかもしれません。その際、派遣社員でたまたま衛生管理者の資格を持っている人がいたら衛生管理者や代理人にすることはできるのでしょうか。

    結論から言いますと、危険業務がない業種の会社では一定条件を満たせば、その事業場の衛生管理者や代理人になることができます。

    ・危険業務がある業種の場合、派遣社員は代理人になれない
    危険有害物を取り扱う事業場においては、衛生管理で適切な措置を講じるために作業工程や作業方法などを熟知している必要があります。派遣労働者はその事業場の「専属の者」には該当しないため衛生管理者や代理人になることはできません。

    ・危険業務がない業種の場合、派遣社員は代理人になれることがある
    危険有害物の取り扱いがない事業場においては、事業場の特性まで熟知しなくても、衛生管理で適切な措置を講じることは可能であるため、派遣社員など社外の者であっても一定条件を満たせば代理人になることができます。

    派遣社員が衛生管理者になるための3つの条件

    先ほど「派遣社員であっても一定条件を満たせば衛生管理者や代理人になることができます。」とご説明しました。派遣社員が衛生管理者や代理人となることができる条件は①所属企業の業種②免許の有無③契約期間3つを満たしている必要があります。この3つの条件について詳しく確認していきましょう。

     ①所属企業の業種
    所属企業の業種とは、危険業務のない業種であることです。労働安全衛生規則第7条第3号のロ「その他の業種」に掲げる業種の事業場であることが条件です。「その他の業種」とは、危険業務の取り扱いがある農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業および清掃業以外の業種の事業場です。

    ②免許の有無
    免許の有無とは、派遣社員が第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許、衛生工学管理者免許を有する人、もしくは安衛則第10条各号に掲げられている医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントの資格を有する者であることです。

    ③契約期間
    契約期間とは、労働派遣契約または委任契約において、衛生管理者である派遣社員が職務を遂行する事業場にもっぱら常駐し、かつ、一定期間継続して職務にあたることが明らかにされていることです。

    これらの条件を満たしていて派遣社員を衛生管理者や代理人とするときには、さらに3つの注意点があります。

    【派遣労働者を衛生管理者や代理人にする際の注意点】
    ①衛生管理者として業務するにあたって必要な権限や、個人情報保護に関する事項を契約書に明記すること
    ②衛生管理者の業務の遂行に必要な衛生に関する情報を十分に提供すること
    ③衛生管理者の能力向上に努めること

    まとめ

    衛生管理者が突然不在になって慌てないために、不測の事態に備えて複数名の方に衛生管理者の資格を取得してもらうことをおすすめします。また、衛生管理者が不在になった際の代理人を事前に決めて体制を整えておくと安心です。衛生管理者が不在になった時は、そのまま放置せず適切な対応をするようにしましょう。

    ※その他衛生管理の基本については、以下の記事でも解説しています。
    50人未満の小規模事業場でも知っておきたい、安全衛生管理とは
    50人の壁おさえておきたい8つの衛生管理業務

    衛生管理者、人事担当の方 必見!

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    この記事の執筆者:エリクシア産業保健チーム

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    この記事は、株式会社エリクシアで人事のお悩み解決に携わっている産業保健師チームが執筆し、産業医が責任をもって添削、監修をしました。

    株式会社エリクシアは、嘱託産業医サービスを2009年より提供しています。衛生管理体制の構築からメンタルヘルス対策、問題行動がある社員への対応など「圧倒的解決力」を武器に、人事担当者が抱える「ヒトの問題」という足枷を外す支援を行っています。

    【記事の監修】
    産業医 上村紀夫
    産業医  先山慧

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